東芝はスマートフォンなどに使う画像用半導体事業をソニーに売却する。売却額は200億円規模とみられる。売却対象はCMOSセンサーを主力とする画像センサー事業で、売上高は2014年度で約300億円。画像センサーを生産する大分工場の一部も譲渡する。2015年度中の譲渡完了を目指す。2016年にシステムLSI事業で約160億円の固定費削減を図る。
ソニーは製造設備や人員の一部を取得。自動車やカメラメーカーなど既存顧客との取引を継承する。東芝は強みとするNAND型フラッシュメモリー事業に投資を集中する。
【東芝のCMOSセンサー事業売却】
項目 | 内容 |
売却額 | 200億円 |
売却先 | ソニー |
完了 | 2015年中 |
効果 | 160億円の固定費削減 |
東芝の電子デバイス事業推移と構造改革
項目 | 事業 | 売上高 | 構造改革 | ||
2012年 | 2013年 | 2014年 | |||
システムLSI | 画像用半導体など | 2232億円 | 1989億円 | 1779億円 | CMOSセンサー事業を売却 |
メモリ | NAND型フラッシュメモリーなど | 5290億円 | 8269億円 | 8606億円 | NAND型フラッシュメモリーに投資を集中 |
ディクリート | LEDやパワー半導体など | 1507億円 | 1569億円 | 1548億円 | 生産品目を絞り込み |
【メモリ】
東芝と米サンディスクは、2014年5月14日、主力の四日市工場でスマートフォンなどの記憶媒体の容量を大幅に増やす新型半導体3Dメモリーを2016年から量産すると発表。2018年度までに9000億円を折半で出資。まず、2015年度までに4000億円を投資する計画。
項目 | 内容 |
投資額 | 9000億円(折半) |
対象 | 四日市工場で新型半導体量産 |
期間 | 2018年度まで |
量産開始 | 2016年 |
【ディクリート】
白色LED事業を終息し、パワー半導体や光デバイス、小信号デバイス事業に注力する。終息は2015年度末。発生費用は200億円の見通し。東芝は2016年度までに300~400億円を投資し、白色LEDパッケージを増産し、月産能力を10倍強に高める計画だった。撤退により、ディスクリート半導体事業で2014年と比較し、2016年に約100億円の固定費削減を図る。
項目 | 内容 |
ディスクリート | 白色LED事業から撤退 |
終息費用 | 200億円 |
終息 | 2015年末 |
効果 | 100億円の固定費削減 |
東芝の業績推移
売上高 | 営業利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2014年 | 6兆6558億円 | 1704億円 | ▲378億円 | 1兆5653億円 | 6兆3347億円 | 17.1% |
2013年 | 6兆4897億円 | 2571億円 | 602億円 | 1兆4459億円 | 6兆1725億円 | 16.6% |
2012年 | 5兆7222億円 | 920億円 | 134億円 | 1兆2058億円 | 6兆216億円 | 13.7% |
2011年 | 5兆9964億円 | 1149億円 | 31億円 | 1兆838億円 | 5兆6730億円 | 12.7% |
【電子デバイス事業推移】
2012年 | 2013年 | 2014年 | |
売上高 | 1兆2802億円 | 1兆6873億円 | 1兆7688億円 |
営業利益 | 464億円 | 2468億円 | 2166億円 |
営業利益率 | 3.6% | 14.6% | 12.2% |