政府は、2014年6月17日、太陽光を中心とする再生可能エネルギー買取制度の見直しに着手した。買い取る電力の量に上限を設ける総量規制の導入を検討する。一定量を超えた分は自由に価格を決められるようにし、買取コストも下げる。また、太陽光発電に限って買い取り価格を引き下げたり、価格改定を年1回から複数回にすることも検討する。経済産業省は2015年以降は30円に引き下げる案も検討している。


政府の政策

 【太陽光発電 参入を一時停止】
 経済産業省は大規模な太陽光発電施設の新規認定を一時停止することを検討する。既存事業者の新増設計画も停止。一般家庭向けの認定は継続する。再生可能エネルギーを買い取る「固定買取制度」によって認定申請が急増し、電力会社が受け入れきれなくなったことから、現時点で認定済みの設備稼動を優先する。

項目 内容
太陽光発電の認定 新規認定を一時停止
新規増設計画を一時停止
一般家庭向け認定は継続

【再生可能エネルギー買取制度】
政府は、2014年6月17日、太陽光を中心とする再生可能エネルギーの買取制度の見直しに着手。買い取る電力の量に上限を設ける総量規制の導入を検討する。一定量を超えた分は自由に価格を決められるようにし、買取コストも下げる。また、太陽光発電に限って買取価格を引き下げたり、価格改定を年1回から複数回にすることも検討する。経済産業省は2015年以降は30円に引き下げる案も検討している。

分野 買取額
太陽光発電 38円→32円
風力発電 23円
地熱発電 27.3円
バイオマス発電 13円~32円

【2023年までに太陽光発電コストを半減】
政府は成長戦略で太陽光発電コストを10年で半減する目標。太陽光パネルを安く製造できる素材の実用化など技術開発に政府予算を集中させ、電気を作るコストを2020年に2010年の半分以下の30円から14円に半減させる計画。コスト抑制に成功すれば買取価格が下がり、電力会社と価格転嫁される企業や家計の負担が減る。

  2010年 2020年
太陽光の発電コスト 30円 14円

【政府の太陽光発電普及後押し政策】
日本政府は電力不足を補うために、2030年の電源に占める原発比率を15%とすると、戸建て住宅に毎年187万キロワットを導入し続ける必要があると試算している。2013年末時点では、住宅用太陽光発電導入量は124万キロワットであり、更なる導入を促す。 経済産業省は住宅の屋根を借りて太陽光パネルを設置する企業に低利融資する仕組みを導入。日本政策投資銀行などが太陽光パネル設置業者に低利で融資できる様にする。期間は20年。企業は住宅などの屋根を借りてパネルを設置し、電力会社に売電。家計は企業から年1~2万円の賃料を受け取る。

 

太陽光発電への投資

 【金融機関】
金融機関のメガソーラー向け融資が拡大している。国が実施する太陽光発電買取制度では、2013年4月時点の買取額は38円だった。事業者が年6%の投資収益率を確保できる前提で価格が決められており、融資を組み合わせると利回りは8~10%となる。買取期間は20年で、長期的に安定した利回りを期待できる。なお、買取額は2014年から38円から32円に引き下げられた。

企業 分野 投資計画
第一生命 メガソーラーや海外インフラ 2015年どまでに1500億円

【外資】
豪投資銀行マッコリー・グループは前田建設工業と組み、2014年から再生エネルギー発電所の建設に取りかかる。金融機関から資金調達し1000億円を投じる見通し。中国の素材・電力GCLポリー・エナジーは太陽光発電施工のウエストホールディングスと組み、2014年から発電所建設に1000億円を投じる。米ゴールドマン・サックスも2018年までに3000億円、独フォトボルト・デベロップメント・パートナーズも900億円を投じる計画。

企業 投資計画
豪マッコーリー 太陽光発電・風力発電に3年で1000億円
中GCLポリー・エナジー 太陽光発電に1000億円
米ゴールドマン・サックス 太陽光発電・風力発電に5年で3000億円
独フォトボルト・デベロップメント・パートナーズ 太陽光発電に900億円
スペイン・ゲスタンプ 太陽光発電に3年で900億円
韓ハンファQセルズ 太陽光発電に2013年度中に300億円
ドイツ銀行 2015年までにメガソーラーに1000億円融資