サンバイオは再生細胞薬を開発する事業を展開。再生細胞薬とは病気や事故などで失われた運動・感覚・認知機能などの身体機能を再生させる医薬品。患者本人の細胞を処理して再度患者に戻すものではなく、均質の細胞を大量製造して製品化。同一製品で多くの患者を同様に治療できるため、製品認可取得後には迅速な普及が見込まれるとしている。
サンバイオは1人の健常者の骨髄液から患者数千人分の最終製品を製造可能な技術を確立。主に慢性期脳梗塞や外傷性脳損傷、加齢黄斑変性、網膜色素変性、パーキンソン病、脊髄損傷、アルツハイマー病などの疾患を対象とした治療薬の販売を目指している。
大学などの研究機関から技術を導入し、製造開発や臨床試験などを実施。医薬品の販売網を有するパートナー製薬会社に開発権・販売権をライセンス許諾することで収入を得る。
新規上場概要
項目 | 内容 |
上場予定日 | 2015年4月8日 |
1単元株式数 | 100株 |
主幹事 | 野村證券 |
公募・売出 | 650万株 |
オーバーアロットメント | 97万5000株 |
仮条件 | 1600~2000円 |
ブック・ビルディング期間 | 2015年3月23日~2015年3月27日 |
公開価格 | 2000円 |
【主要株主】
コード | 企業 | 割合 |
4506 | 大日本住友製薬 | 6.67% |
3401 | 帝人 | 6.57% |
4901 | 富士フイルム | 4.05% |
※富士フイルム 保有株数約171万株のうち約43万株を売却
再生細胞薬の開発状況
現在SB623の慢性期脳梗塞用途の開発が最も進捗。ライセンス先の大日本住友製薬との共同開発を進めており、フェーズⅡbの臨床試験開始に向けた準備を行っている。
細胞薬 | 適応症 | |
SB623 | 神経再生細胞 | 慢性期脳梗塞 外傷性脳損傷 加齢黄斑変性 網膜色素変性 パーキンソン病 脊髄損傷 アルツハイマー病 |
SB618 | 機能強化型・間葉系幹細胞 | 末梢神経障害 |
SB308 | 筋肉幹細胞 | 筋ジストロフィー |
【ライセンス】
コード | 企業 | 地域 | 期間 |
4506 | 大日本住友製薬 | 米国・カナダ | 上市から20年間 |
3401 | 帝人 | 日本 |
SB623の主な特徴
慢性期脳梗塞などの脳神経疾患の場合は、低位脳手術と呼ばれる脳神経外科で既に普及した手技により、局所麻酔で安全に投与できる。患者は長期入院が不要。投与に当たっては、免疫抑制剤も不要で、通常の医薬品と同様に同一の製品を全ての患者に使用することが可能。
経営戦略
SB623の対象疾患を現在の慢性期脳梗塞から外傷性脳損傷、網膜疾患、パーキンソン病、脊髄損傷、アルツハイマー病などへと順次拡大する。必要な資金は増資や借入などで賄っていく予定。
業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2013年 | 2億円 | ▲5.8億円 | ▲5.8億円 | ▲19億円 | 4.7億円 | ▲413.8% |
※売上高は100%大日本住友製薬向け
参考
再生細胞薬は、世界的にまだ本格的な普及段階に至っておらず、カナダなどの一部の国で医療用医薬品として当局より製造承認を受け、実用化され始めている段階。
日本では当局から製造承認を受けたものはなく、主に特定の医療機関や研究機関が用いる高度な医療技術として比較的限定された範囲での臨床研究・臨床試験を中心に行われている。