空を飛ぶドローン

ドローンは人が搭乗していない航空機全般を指し「無人航空機」と呼ばれる。用途は戦場での偵察や農場での農薬散布、災害調査、写真撮影など多岐にわたる。

ソニーはドローンの実用化に向けて開発に乗り出す。デジタルカメラなどに使われる目の役割を担うセンサーで世界トップシェアを握る技術をドローンに活用。人の目では確認しづらい老朽化したトンネルや橋などのインフラを点検したり、農作物の育成状況を調査する用途を検討している。ALSOKは2015年4月からドローンによるメガソーラー発電施設の点検サービスを開始。今後は風力発電施設の風車点検や巡回する監視飛行ロボット警備システムに展開。セコムは大規模商業施設などで不審者を追跡する小型飛行監視ロボットを開発している。2015年春にサービスを開始する見通し。

米国ではアマゾンやグーグルが荷物の輸送手段にドローンを活用する構想を発表。フェイスブックはドローンを使ってインターネット接続地域を拡大する事業を計画。ディズニーはテーマパークでドローンを活用するための特許を申請した。現在、商用目的のドローンは飛行出来ないが、2015年度中にドローンの商業利用の行政方針がまとまる見通し。

欧州では、ドイツポストが小型ヘリによる小包の無人配送を開始。ドイツ本土から北海沖に浮かぶユイスト島に向け、医薬品などの緊急物資を運ぶ。

ドローンがもたらす経済効果は2025年までに8兆円を超えるとの試算もある。


ドローンの主な関連企業と事業内容

コード 企業 事業内容 開始時期
6758 ソニー 目の役割を担うセンサー -
6810 日立マクセル ドローン向けリチウムイオン電池 2015年
2331 ALSOK 太陽光発電施設の点検 2015年4月
風力発電施設の風車点検
監視飛行ロボット警備システム
9735 セコム 監視飛行ロボット警備システム 2015年春
6701 NEC 災害現場の監視や通信中継用 2014年

 【日立マクセル】
ドローン向けリチウムイオン電池事業に参入。ドローンに最適な電池パックと充電器を開発。2015年内の発売を目指す。


【NEC】
災害現場の監視や通信の中継用にドローンを商用化。2014年度中に受注を開始する。富士重工業やヤマハ発動機など17社が加盟する「日本産業用無人航空機協会」から安全や動力性能など全26項目の基準を満たしていると認定。NECは安全基準を前面に出して需要を取り込む。


ドローンの規制緩和と規制

【規制緩和】
政府は、2018年までに医薬品や輸血用血液など緊急性の高いものをドローンで運べるようにする。医療機関が手薄な離島や中山間地で先行させる。また、2016年末までに周波数帯を広げたり無線基地の出力を上げたりする方針をまとめる。

項目 内容
ドローン 離島への緊急性の高い医薬品などを輸送 2018年
周波数帯の拡大や無線基地の出力上昇方針まとめ 2016年


【規制】
2015年9月4日、ドローンの飛行を規制する改正航空法が成立した。2015年内に施行する。国土交通相の許可無く住宅密集地や空港周辺、夜間の利用は禁止。飛行時は目視で周囲の状況把握や人と建物と数十メートル離れることを義務付け。危険物や爆発物の搭載を禁じた。違反した場合は50万円以下の罰金を課す。

また、規制第2弾では、原子力発電所など重要施設周辺の飛行を禁止する。2015年度の国会での成立を目指す。

今後は免許制や機体の登録制、製造時の技術基準の整備に取り組む。事故時の保険も保険業界と調整する。

項目 内容
2015年9月成立 住宅密集地や空港周辺、夜間の利用は許可制
飛行時は目視で周囲の状況を監視
人や建物との間に一定の距離
危険物や爆発物の搭載禁止
2015年度国会成立を目指す 原発や首相官邸、国会、皇居などの上空飛行を禁止
今後 免許制や機体の許可制、製造時の技術基準の整備